スタートアップファイナンス戦術講義 〜必要資金調達額とバリエーションの計算方法〜

全体の感想

本日講師をして頂いたのは山中礼二さん。
難しい内容ながら、非常にわかりやすい講義だった。

最初に出されたのは以下のような問題。
「喫茶店に入ると、客が30人、スタッフが3人のお店があります。もうかるかどうか」
今回はこのように問題を解いてもらい、講義を進行していく形式であった。

このあと、資金調達額の算定方法の説明からバリュエーションの算定方法の説明の流れになった。

資金調達額

起業家にとって大切なものは「資金調達額」。
それは企業活動継続の点で生きるか死ぬかの問題であるためだ。

まず、効率よく計算できる人というのはトップダウンで考えることが出来る人。
例えば、【利益=売上-費用】から売上について考えると、売上=客単価×客数。そして、客数については、客数=回転数×営業日数×平均滞在客数だ。といった風に。

最初に、山中氏の財務計画構築についての講義が始まる。
実際にスプレッドシートを作って講義をし、
どのくらいの期間で損益分岐点に到達するかを計算させていた。

クイックアンドダーティと言うそうだが、
ざっくりと速く計算できるようにするのがベンチャーの世界での方法論。

事業計画と財務計画は切り離さないで計算をしなければならない。
資金調達額は、事業計画⇛財務計画⇛資金調達額の順で計算する。

セミナー前半の中で、山中さんからの質問があった。
「資金調達で苦しんだことは?」
参加者の一人が以下のように答えた。
「規模を小さく見積もりすぎて保守的に創ってしまうとVCから注目されなかった」

ある程度盛り盛りで投資家向けのプレゼン資料を作り込む必要があるので、
VCにはかなりアグレッシブな事業計画を見せるべきだそうだ。
ちなみに、多くのVCは「5年以内にM&AかIPOできるかどうか」を見ているようだ。

「バリュエーション」(Valuation)

なぜ自社のバリュエーションを考えるべきなのか。
それは、株価を求めるためであり、
株価を求めるのは、適切な資本政策を組むため。
そして、適切な資本政策を組むのは、適切に資金調達をするためである。

1. 株価の算定方法について

(1)適当に決める
(2)しがらみで決める(前回増資時の株価とのバランスを考慮)
(3)資本政策を考えて決める
計算方法:調達したい金額÷与えたい株数=株価
(4)適正株価を求める
計算方法:①適正な企業価値を求める
②そこから適正株価を算出する

今回は、この中の(4)にフォーカスする。
ここで、最も理論的なのが(a)DCF法による算定だ。
これは期待CFを一定の利率で割り戻して求める方法である。
しかし、ベンチャーでは期待CFも割引率もわからないので、
ファイナンスの理論が全く通用しないのだ。

そこで、スタートアップで有効な企業価値算定方法は、主にVCが用いている(b)VC-Method。これは、まず最初にExit時の企業価値を推計する。
そして、推計した企業価値をVCが求める内部利益率で割り戻して得られる値が、投資時の企業価値である。

ただ、試算したところでこの企業価値が正しいかどうかははっきりとしない。
そのため、複数の投資家に意見を聞いてみることが、
スタートアップが正しい自社のバリュエーションを見積もるのに有効な手段だという。

2. 実績ベースのバリュエーション

なお、比較的簡単に企業価値を算定する方法をご教示頂いたのでご紹介まで。
「直近の利益×類似の企業PER=自社のバリュエーション」
※PERはyahooファイナンス等を参考にし、似たような事業のPERを使う。

まとめ

セミナーの中で特に気になったのは、VCの持分比率があまりに高い場合には、証券会社から「不安定株主」と目をつけられるということだ。
なぜなら、VCは上場した後に所有している株式を売却してしまう可能性があると見る証券会社がいるかららしい。

今回も毎度のように、レベルの高い方々が集まっていた。
資金調達額は冒頭でも書いたように、
会社にとって生きるか死ぬかを分けるほど重要なもの。
したがって、会社の初期の段階からファイナンスを勉強することは、
考えてみればすごく当たり前のことだ。

以上講義録をつらつらと書いてきたが、我々も勉強の身。
自らイベントから学べる点がたくさんあるので、
ここでたくさん学び、出来る限りのことをこのブログでシェアしようと思う。

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